古い家が多い「イギリス」、少ない「日本」
イギリスなど欧米の住宅には、「歴史のある古い家だなぁ~」と感じられるものがたくさんあります。一戸建てもそうですが、アパートメントもそう。旅行番組などを見ているだけでも、イギリスやイタリア、フランスなどには、古い住宅がたくさん残っているのがわかると思います。古きよきものを大事にする心は日本にも根付いているはずなのに、どうしてイギリスなどと同じような“古い住宅がたくさんある”と思えないのでしょう?
あなたが建てる家の寿命は何年ですか?
これから家を新築されるあなたに、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。それは、住宅の寿命。あまり寿命については考えたことがないかもしれませんが、そこを考えないと、せっかくのマイホームが一代限りで取り壊される可能性があります。
あなたは、日本の住宅の寿命は何年程度かご存じですか?
なんと、わずか30年程度。
アメリカでは約90年、フランスでは約85年、そしてイギリスでは約140年という住宅の平均寿命に対し、日本は平均約30年(※)と、とても短いサイクルで“建てては壊す”を繰り返しているのです。
※国土交通省の建設白書によると平均26年
家を建てるとき、きっと多くの方がこう思うはず。
「自分たちだけでなく、子どもたちも孫も、この家で暮らしてくれたら……」
その願いが日本で叶えられているケースは、実はほとんどないのです。そしてその習慣があたりまえになっているため、日本人は住宅を購入するときに寿命のことをあまり視野に入れません。
では、どうしてこんなにも日本の住宅寿命は短いのか? そこには主に3つの理由があります。
現代日本のはじまりは、戦後の復興期です。全国的に家が足りないため、とにかく量を増やさなければならない状況でした。そのため住宅に関する法整備がままならないまま、あまり品質がいいとはいえない建材を使って安さ重視の住宅建設が進められていきました。またその裏では、高度な技術を持った技術者でなくても住宅建設に携われる環境が着々と整ってしまっていたのです。外観はきれいでも、見えない内部では粗悪なつくり……そんな家が、日本中に増えていきました。
あまり品質がいいとはいえない住宅ばかりであるためか、日本の中古住宅市場は活発ではありません。「中古住宅=ものが悪い」というイメージが定着しているため、最初の20~30年さえ維持できればいいとメーカーなどの建設側も長持ちする家を建てようとしない傾向にあります。将来を見ての長寿命よりも、目先のローコストを優先してきた供給側の考えが反映されてしまっています。
「2×4工法」「プレハブ工法」「在来工法」など、現代日本の住宅工法はさまざまです。なかでも2×4やプレハブは柱ではなく壁で建物を支える構造になっているため、間取り変更などの増改築がなかなか行えません。また、安さを追求して柱をギリギリまで削った在来工法も、同様に増改築しづらいのが現状です。子どもの独立、定年退職、二世帯化……家族のライフスタイルは時間とともに変わるもの。そこに住まいが対応しきれず、結局「建て替え」という選択をせざるを得なくなっているのです。
古くなり、深みを増して美しくなっていくものを、修理しながら大事に使い続ける――これがイギリスの考え方であり、文化です。家も、家具も、それは同じ。建てては壊すということはせず、自分たちが愛して大切にしてきた住まいを、次の世代へ伝える楽しみが根付いています。ずっと昔からエコの精神が刻まれてきたイギリスの文化には、私たち日本人が見習うべきことがたくさんあります。
あなたがこれから建てるマイホームも、イギリスの文化を見習った「長寿命住宅」にしませんか? 質の高い自然素材で、自分たちらしさを盛り込んだ注文住宅。住み続けることで味が出てきて、訪れる人に「いい家だね」といってもらえる家。長く暮らせる家を、子どもや新しい住人の次の世代へ残せる喜びを味わいましょう。